こんにちは、川上技建です🌳
北海道の苫小牧市で住宅の新築工事、リノベーション工事、リフォーム工事、アパートなどの設計・施工を手がけています。
北海道など積雪の多い地域では、雪かきや除雪作業で苦労している人が多いです。
特に、大雪の際は、雪かき後の雪を所定の雪捨て場で処理しなければならず、時間も手間もかかります。そんな雪の処理を楽にする設備が、融雪槽です。
「融雪槽ってどんなしくみなの?」
「導入を考えているけど、設置方法やコストが気になる…」
という疑問を持っている方も多いはず。
そこで今回は、創業35年以上の実績を誇る川上技建が、融雪槽を詳しく解説します!
融雪槽の導入を検討している方にとって、役立つ情報をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
▼目次
融雪槽とは?
融雪槽は、雪を溶かして排水するための装置です。雪かき作業や除雪作業を楽にするため、北海道のような雪の多い地域ではよく使用されています。コンクリートや繊維強化プラスチック(FRP)などの素材でできており、地中に埋設されるのが一般的です。
冬の除雪方法には、ロードヒーティングもあります。ロードヒーティングも融雪槽と同じで雪かきの負担を軽減する装置ですが、しくみが異なります。ロードヒーティングは、地面の下に電熱線や温水パイプを埋め込み、地面に熱を加えて雪を溶かすしくみです。雪かきの手間が省ける利点があります。
対して、融雪槽は雪かきをしたあとの雪を溶かす装置なので、雪かき自体は必要です。
ここでは、融雪槽の基本情報をまとめます。
融雪槽の役割
雪かき後の雪を高く積み上げるのは体力を必要とするため、負担が大きいでしょう。
そんな雪の運搬や処理の負担を減らし、冬の生活を快適にするのが融雪槽の役割です。
融雪槽は、雪を投げ入れるだけで、効率よく雪を溶かし、除雪作業を楽にする設備です。所要時間は機械の種類によりますが、1回あたり1トンの雪量を処理できます。狭いスペースで除雪作業が可能なため、一般宅でも設置・使用可能です。
融雪槽は寒い冬に活躍するイメージですが、夏場は貯水タンクにもなり、雨水を溜めて水まきや洗車に活用できます。
融雪槽の種類
融雪槽にはいくつかの種類があります。「融雪の方式」「設置形式」「熱源の違い」で3つの分け方ができるので、それぞれ種類と特徴をまとめます。
<分け方1:融雪の方式>
①温水散水式
温水散水式は、水を灯油の燃焼時の熱などで加熱し、温水を雪に散水する方式です。
雪を効率よく溶かすため、広範囲の除雪作業に適しています。
②直接加熱式
直接加熱式は、電気や灯油などの熱で直接地面を加熱する、あるいは高温部分に雪を載せる方式です。排気口や投雪口が高温になるため、触れるとやけどの恐れがあり、取り扱いに注意が必要です。
③直接・温水混合式
直接・温水混合式は、直接加熱式で融かした雪の水を温めて散水する方式です。水道水を使用する必要がなく、効率よく融雪できます。
<分け方2:設置形式>
①固定式
固定式は、融雪槽を地下に埋設する形式です。使用しない際は地上に露出しないため、地上での置き場所に困りません。埋設工事が必要なため、導入費用が高めです。
②可搬式
可搬式は、雪の近くに装置を移動させる形式です。埋設工事の費用がかからないので、固定式よりも導入費用が抑えられます。ただし、地上での設置スペースが必要です。
<分け方3:熱源の違い>
①灯油温水式
灯油温水式は、灯油ボイラーで温めた水をパイプ内に循環させ、雪を溶かす方式です。
本体費用は比較的安価ですが、ランニングコストは原油の価格に影響を受けます。
②ガス温水式
ガス温水式は、灯油を燃料にしてガスボイラーで温水を循環させ、雪を溶かす方式です。
ランニングコストは電子式よりも低いですが、本体費用が高額なのがデメリットです。
③地下水式
地下水式は、装置を埋設し、地下水をポンプで汲み上げて雪を溶かす方式です。
本体費用は比較的安価で、他の方式に比べてランニングコストが安いのがメリットです。
ただし、灯油温水式やガス温水式よりも融雪に時間がかかります。
④電気式
電気式は、電気ヒーターで融雪槽内の水を温めて雪を溶かす方式です。
騒音や排気ガスの心配がなく、本体費用が安価なのが利点です。
一方、ランニングコストが高く、融雪時間が長いデメリットがあります。
価格と処理能力、ランニングコストを考慮して最適な融雪槽を選びましょう。
融雪槽の設置方法
融雪槽の設置方法(埋込工事)は、大きく分けて5つの手順に分かれます。
1.現地調査
融雪槽の設置場所を確認します。積雪量や地形、水質を把握し、最適な融雪槽を判断します。
2.掘削工事
重機で掘削を行い、本体を埋めるスペースを作ります。
3.融雪槽の設置
掘削したスペースに融雪槽を設置します。
4.埋め戻し
掘削した地面を戻します。
5.舗装工事
埋め戻しのあとは、アスファルトやコンクリートで舗装します。
6.ボーリング工事
地下水式の融雪槽を選んだ場合、地下水を汲み上げるためのボーリング工事も必要です。
ボーリング工事は、地面に穴を掘って地質を調査する目的で行われます。
融雪の方式、設置形式、熱源の違いによって費用が大きく異なる場合があります。
融雪槽を設置する際は、複数の業者に見積もりを依頼して、予算に合った製品を選びましょう。
除雪機との違いは?
融雪槽と除雪機には、機能的な違いがあります。
融雪槽は雪を投げ入れて溶かす装置です。一方、人が本体を歩きながら動かすことで雪を飛ばす・押してどかす装置です。
除雪機には自動車のようにエンジンやトラック、ハンドルなどがついています。
除雪機を選ぶ際は、除雪量や面積、雪質に応じた製品を選ぶ必要があります。
融雪槽の4つのメリット
融雪槽を導入すれば、雪を水にして排水できるため、雪かきや後処理の手間を減らせます。
以下で詳しく解説します。
メリット①女性や高齢者でも簡単に除雪できる
融雪槽は、雪を投げ入れるだけで除雪できるので、女性や高齢者など体力に自信がない人でも簡単に除雪できます。狭いスペースでも使用できるので、場所も問いません。
メリット②運転音が少なく時間帯を気にせず使える
融雪槽の騒音レベルは、雪投入時で50〜60dB程度です。一般的な掃除機(60〜76dB)や洗濯機(64〜72dB)よりも静かなので、時間帯を気にせずに使えます。
除雪機の騒音レベルは、静音タイプでも60dB以上です。運転音を抑えて雪の処理をしたい場合は、融雪槽のほうが適しています。
出典:環境局|生活騒音
メリット③地下に埋設するので、設置しても目立たない
融雪槽は地下に埋設するので、設置しても目立たず、景観に影響がありません。
北海道には景観保護区域に指定されているエリアがあります。景観に配慮しながら快適に過ごせるのは大きなメリットです。
メリット④耐久性が高いので長期的に使える
融雪槽の耐用年数は15〜25年と長いので、一度設置すれば長期的に使えます。
融雪槽の3つのデメリット
融雪槽には多くのメリットがありますが、導入する際はデメリットも考慮する必要があります。
以下で詳しく解説します。
①導入費用がかかるのでまとまった資金が必要
融雪槽を設置する際の導入費用として、まとまった資金が必要です。
本体費用の相場は種類によって異なります。
本体費用に加え、工事費用もかかります。工事費用の相場は60〜130万円です。
融雪槽の導入費用は金額が大きくなりやすいため、ローンを組む事例も少なくありません。
北海道には、融雪槽の設置費用を用意するための融資制度が設けられています。たとえば、札幌市では融資限度300万円、無利子での融資制度があるため、検討しましょう。
融雪槽とロードヒーティングとを比較検討される方は多いです。
ロードヒーティングの費用に関しては以下の記事を参考にしてください。
内部リンク:冬の雪かきを楽にしたい!ロードヒーティングのメリット・デメリット&費用を詳しく紹介
②雪かきの作業自体は必要
融雪槽で雪を溶かすには、人の手で雪を投げ入れる必要があります。そのため、雪かきの作業自体は必要です。
③ランニングコストがかかる
融雪槽はランニングコストがかかります。
地下水式だと、ワンシーズンのランニングコストは抑えられますが、設置場所の地質によっては導入できない場合があるので注意が必要です。その場合、熱源を使用するため、ランニングコストがかかりやすいです。
融雪槽にかかるコスト
融雪槽の本体費用はガス温水式がもっとも高く、ランニングコストは地下水式がもっとも安い傾向にあります。
灯油温水式は、寒冷地でも効率よく融雪できるのがメリットですが、燃料費が灯油の価格変動に影響を受けやすいデメリットがあります。
ガス温水式は、ワンシーズンのランニングコストは比較的安いものの、本体費用が高く導入費用が高額になります。
地下水式は、融雪にかかる時間が長い半面、本体費用やランニングコストが安いので費用重視な方向けです。
電気式は、融雪にかかる時間が長い弱点があり、電気代高騰の影響もありランニングコストもかかります。その一方、本体費用が安いのは大きなメリットになるでしょう。
雪の処理を効率的にするために融雪槽を検討しよう
融雪槽は、雪の処理を効率的にするのに役立つ設備です。
北海道など寒冷地の冬を快適に過ごすのに必須なので、導入を検討しましょう。
「注文住宅の相談ってどうしたらいいの…?」
「ちょっとした質問でも大丈夫なの…?」
そのような不安をお持ちの方はぜひ川上技建にお問い合わせください。
川上技建は創業から30年以上、北海道苫小牧市を拠点に活動しています。ご相談から設計・施工まで自社による一貫対応を強みとしています。
伝統工法や最新技術も取り入れながらご要望に合わせたご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。