こんにちは、川上技建です🌳
北海道の苫小牧市で住宅の新築工事、リノベーション工事、リフォーム工事、アパートなどの設計・施工を手がけています。
注文住宅を建てるために土地を探し始めると、「造成地」「宅地」「分譲地」など、聞き慣れない言葉に戸惑うことはありませんか?
なかでも造成地は、地盤の安全性や追加費用など注意すべき点もあるため、正しい知識をもとに判断することが大切です。
そこで今回は、創業35年以上の実績を誇る川上技建が、造成地について、以下のポイントを具体的にわかりやすく解説します。
「なんとなく整っているから安心そう」ではなく、土地の特性をしっかり理解したうえで、後悔のない選択をしていきましょう。
ご不明な点や土地探しのお悩みがあれば、ぜひ川上技建までお気軽にお問い合わせください。
▼目次
宅地造成および特定盛土等規制法とは?造成地の安全性を守る法律
造成地とは?切土・盛土の違いやリスク
造成地とは、もともと住宅に適していなかった山林や農地などを、家が建てられるように整備した土地のことです。具体的には、山林の木々を伐採して整地したり、傾斜地を平らにしたり、湿地や田畑を埋め立てたりした土地が該当します。
造成の方法には、大きく分けて「切土(きりど)造成地」と「盛土(もりど)造成地」の2種類あり、どちらの方法で造成された土地かによって、地盤の性質やリスクも異なります。
それぞれの特徴について、詳しくみていきましょう。
切土造成地
切土造成地とは、山や丘の高い部分を削って平らにした土地のことです。切土は、既存の山地や斜面の地面をそのまま削り取り、平坦な土地に整える造成方法です。
地盤に新たな土を盛らず、もともとの地面を活かしているため、地盤の強度や安定性が保たれやすい点が特徴です。自然の地盤が固く締まった状態にあるため、造成地の中では比較的安全性が高いとされています。
盛土造成地
盛土造成地とは、低い土地に土を盛って高さを調整した造成地のことです。谷や沼地、田んぼや畑などに新しい土を運び入れて整地されるため、人工的に造成された土地に分類されます。
盛土は、自然に形成された地盤と比べて強度が劣るケースがあり、安全性には注意が必要です。特に、盛った土や下層の地盤に対して、適切な締め固めや地盤改良が行われていない場合は、沈下によって建物に影響が出るリスクもあります。
造成の際の工事品質によって、地盤の安定性は大きく左右されるため、購入前には地盤調査結果の確認や、必要に応じた地盤改良の有無を確認することが重要です。
注文住宅を建てるうえで注意が必要な土地
注文住宅を建てる際に特に注意したいのが、「大規模盛土造成地」と呼ばれる広範囲に大量の土を盛った土地です。
国土交通省によれば、こうした土地は地震や豪雨時に地盤が崩れるリスクがあるとされており、地盤調査や自治体の公開情報を事前に確認することが推奨されています。
【大規模盛土造成地の定義】
「大規模盛土造成地」とは、以下のいずれかの条件に該当する土地を指します。
①谷埋め型大規模盛土造成地
谷やくぼ地を埋め立てたもので、盛土の面積が3,000平方メートル以上
②腹付け型大規模盛土造成地
斜面に沿って土を盛ったもので、造成前の地盤面の傾斜が水平に対して20度以上かつ、盛土の高さが5メートル以上
宅地造成および特定盛土等規制法とは?造成地の安全性を守る法律
造成地に注文住宅を建てる際には「宅地造成および特定盛土等規制法」という法律が関わってきます。この法律は、造成地における崖崩れや土砂災害を未然に防ぐことを目的とし、宅地の形質変更や盛土工事などを一定の基準に基づいて規制・監督する制度です。
もともとは宅地造成工事のみが対象でしたが、2021年に発生した熱海市の土石流災害をきっかけに法改正が行われました。2023年からは宅地以外の盛土も規制対象となり、全国一律のルールで危険な盛土の放置を防ぐ体制が整備されました。
造成地の購入を検討する際は、以下のいずれかの規制区域に該当しないかどうか、注意が必要です。
- 宅地造成等工事規制区域:市街地などで災害リスクの高いエリア
- 特定盛土等規制区域:盛土による災害が懸念される広範囲の区域
見た目が整っている造成地であっても、造成方法や地盤の状況によっては安全性に大きな差があります。長く安心して暮らせる住まいを建てるためには、この法律の内容や対象区域かどうかを事前に確認しておくことが大切です。
「宅地」「造成地」「分譲地」の違いとは?
土地探しをしていると、「宅地」「造成地」「分譲地」という言葉を目にすることがあります。一見似たように思えるこれらの用語ですが、意味や特徴には違いがあり、土地選びや建築計画に大きく影響するポイントです。
<宅地>
宅地とは、建物を建てるために利用できる土地の総称です。
不動産登記においては「地目(ちもく)」の1つであり、「建物の敷地やその効用を維持するために必要な土地」として定義されています。造成工事の有無に関わらず、住宅建築が可能な土地であれば宅地と呼ばれます。
また、宅地は建築条件が付いていないケースが多く、複数の施工会社から自由に選べるというメリットがあります。プランや予算に応じて比較検討ができるため、理想の住まいづくりがしやすいのが特長です。
<造成地>
造成地とは、住宅を建てられるように整備された土地を指します。
もともと山林や農地だった土地に工事を加え、宅地として使用できるように整地・改良した土地です。造成地は宅地の一種ですが、造成の方法によっては地盤の強度や安定性に差があるため、注意が必要です。
造成方法には、土地を削る「切土(きりど)」や、土を盛る「盛土(もりど)」などがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。見た目では判断しづらい地盤状況については、調査や専門家の意見を参考にすることが重要です。
<分譲地>
分譲地とは、不動産会社などが広い土地を複数の区画に分けて販売している宅地のことです。
多くの場合、電気・ガス・上下水道といったインフラが整っており、計画的に整備された街並みが形成されています。住宅街としての一体感があり、住環境が整いやすい点が特長です。
ただし、注文住宅を検討している場合は「建築条件付き分譲地」に注意が必要です。建築条件付きの場合、あらかじめ指定された建築会社で、一定期間内に契約・建築することが求められます。
建築会社の選択肢が限られる可能性があるため、購入前に必ず条件を確認しましょう。
造成地のメリット・デメリット
造成地は、土地が整備されており、インフラや設計のしやすさといった多くのメリットがあります。一方で、建築条件や地盤の状態など、事前に確認すべき注意点も存在します。
ここでは、造成地に注文住宅を建てる際のメリットとデメリットを整理してご紹介します。
造成地に注文住宅を建てるメリット
造成地は、整地された土地だからこそ得られる利便性や安心感があります。注文住宅を検討するうえで、スムーズな計画進行が期待できる点は大きな魅力です。
1.インフラが整っており、すぐに建築できる
分譲地として販売されている造成地では、電気・ガス・上下水道などのインフラがすでに整備されているケースが多く、土地購入後すぐに建築に着手できるのが特徴です。追加の引き込み工事が不要なこともあり、手続きや費用の負担を抑えられます。
※地盤調査や改良が必要な場合は、別途費用がかかることがあります
2.土地の形状が整っており、設計しやすい
造成地は、傾斜や凹凸が整えられた平坦な地形であることが多く、建物の設計や施工がしやすい点も魅力です。
また、分譲地では区画ごとに境界が明確であり、隣地とのトラブルが起きにくいという安心感もあります。
3.分譲地であれば周辺環境が計画的に整備されている
分譲地では、不動産会社が街全体を計画的に開発するため、道路や公園、防犯対策などが整っているケースが多く、住環境に優れています。
インフラや地形が整った造成地は、設計や施工の負担を抑えられるため、初めて注文住宅を建てる方でも安心して家づくりを進められます。
造成地に注文住宅を建てるデメリット
造成地にはメリットだけでなくデメリットもあります。分譲地ならではの条件や地盤の問題、コスト面の影響は事前に把握しておくと安心です。
1.建築条件付き土地の可能性がある
分譲地の多くは「建築条件付き土地」として販売されており、指定された施工会社で住宅を建てる必要があります。
この条件を外す場合は、100〜300万円ほどの追加費用がかかることもあり、建築会社を自由に選びたい方には不向きです。
さらに、建築条件付き土地では、土地の売買契約からおおむね3カ月以内に建築請負契約を結ぶ必要があるため、設計プランを短期間で決定しなければなりません。
2.盛土造成地では地盤改良が必要になることがある
盛土で造成された土地は、もともとの自然地盤よりも地盤が軟弱なケースが多く、地盤改良工事が必要となる場合があります。
3.土地価格が高くなる傾向がある
造成地や分譲地は、整備済みである分、価格が未造成の土地よりも高く設定されている傾向があります。造成費用やインフラ整備費が土地価格に上乗せされているためです。
4.造成費用が別途発生するケースもある
分譲地以外の造成地では、インフラが未整備のまま販売されていることもあります。
この場合、電気・水道・ガスなどの引き込み工事を自費で手配する必要があり、追加で50〜80万円程度の費用が発生する可能性があります。
5.固定資産税が上がる可能性がある
造成工事によって土地の評価額が上がると、固定資産税も増額される可能性があります。特に広い敷地や大規模な造成工事を行った場合には、将来的なランニングコストとして税負担が大きくなることがあります。
造成地には多くのメリットがある一方で、見落としやすいコストや条件の制限がある点にも注意が必要です。利便性とコストのバランスを踏まえて、納得できる土地選びを心がけましょう。
造成地の購入前に必ず確認したい5つのポイント
造成地を選ぶ際は、土地の見た目や価格だけでなく、地盤の状態や法的な規制、インフラ整備の有無など、事前に確認すべき重要なポイントがいくつもあります。
ここでは、後悔しない土地選びのために押さえておきたい5つのチェックポイントを紹介します。
1.造成の種類と地盤の安全性
造成地を選ぶ際に最も重要なのが地盤の強さです。造成方法によって地盤の安定性に差があるため、「切土」か「盛土」かを確認することが基本です。
【チェックポイント】
- 切土か盛土か(一般に切土のほうが地盤が安定しやすい)
- 造成からの経過年数(時間の経過とともに地盤は沈静化する傾向がある)
- 周囲の住宅で不同沈下の事例がないか
- 国交省「大規模盛土造成地マップ」に該当する地域でないか
不安がある場合は、購入前に地盤調査を実施することをおすすめします。
2.インフラ整備状況と追加費用
造成地であっても、インフラが完全に整備されているとは限りません。電気・ガス・水道などの整備状況を必ず確認しましょう。
【チェックポイント】
- 上下水道が敷地内まで引き込まれているか
- 電気・ガスの引き込み位置や敷地からの距離
- 敷地と道路との高低差(擁壁工事が必要なケースがある)
インフラが未整備の場合、数十万円単位の引き込み費用が発生します。
3.法的規制と建築条件
土地には法令による制限があり、建てられる建物の規模や外観に影響を及ぼします。分譲地では「建築条件付き」の土地も多く、事前確認が必須です。
【チェックポイント】
- 用途地域、建ぺい率、容積率(建てられる建物の大きさ)
- 高さ制限(北側斜線制限などがある場合も)
- 地区計画や建築協定(外観や色に制限がある可能性)
- 建築条件付きかどうか、その条件の詳細
建築条件付きの場合、契約から約3カ月以内に建築請負契約を結ぶ必要があり、十分なプラン検討期間を取れない可能性があります。
4.高低差・擁壁(ようへき)の有無と状態
高低差のある土地では、地盤を安定させるための「擁壁(ようへき)」が必要になることがあります。既存の擁壁がある場合も、状態の確認が不可欠です。
<擁壁工事の目的>
- 土砂崩れや地盤の崩壊リスクを軽減する
- 建物の基礎を支える安定した地盤を確保する
- 条件により擁壁の設置が法的に義務付けられることもある
<擁壁のチェックポイント>
- 擁壁の構造(鉄筋コンクリート造、ブロック造など)
- ヒビや傾き、劣化などの異常がないか
- 補修や再施工が必要な場合、そのコストはどれくらいか
鉄筋コンクリート造の擁壁工事は1㎡あたり約5〜10万円が目安です。補修のみの場合は1㎡あたり約2万円程度が一般的です。
5.周辺環境と将来性
土地の立地や周囲の生活環境も、長く快適に暮らすうえで欠かせないチェック項目です。特に造成地は新興住宅地であることが多く、将来的な環境の変化にも目を向けましょう。
【チェックポイント】
- 日当たり・風通しの良さ(西日が強すぎないかも確認)
- 教育・医療・商業施設へのアクセス
- 公共交通機関の利便性
- 今後の再開発や区画整理などの予定
現在の利便性だけでなく、都市計画や将来の開発予定まで確認しておくと、住み始めたあとにギャップを感じにくくなります。
まとめ
造成地には、インフラ整備や整った区画といった魅力がありますが、地盤の状態や造成方法によっては注意が必要なケースもあります。
土地選びの段階でしっかりと情報収集し、確認すべきポイントを押さえておくことが、満足のいく家づくりにつながります。
どの土地が自分たちに合っているのか、判断に迷うこともあるかもしれません。
そんなときは、地域に詳しい住宅会社に相談するのもひとつの方法です。
信頼できる注文住宅のご相談なら川上技建へ!
「注文住宅の相談ってどうしたらいいの…?」
「ちょっとした質問でも大丈夫なの…?」
そのような不安をお持ちの方はぜひ川上技建にお問い合わせください。
川上技建は創業から30年以上、北海道苫小牧市を拠点に活動しています。ご相談から設計・施工まで自社による一貫対応を強みとしています。
伝統工法や最新技術も取り入れながらご要望に合わせたご提案が可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。